「京王電鉄
井の頭線」
今朝、牛乳販売店の脇の路地で、
泣いている老人を見かけました。
老人は、泣いてはいけません。
世の中にそれ以上の悲しみは存在しないから、泣いてはいけません。
あなたのその悲しみを、受け止める人はいないから、泣いてはいけません。
あなたの涙には、
打算や後悔や懺悔は、ありません。
他者の忖度を無化し、憐憫を形骸化します。
つまり
その悲しみには、
隙間というものが
ないのです。
あなたは大脳で泣いているのではなく、
生体としてないているのです。
哀切さだけが濃縮されたカタマリなのです。
きっと臍の胡麻まで泣いているのです。
(朝日を受けて、膨張した灯油缶がパンといいました)
ただただ真っ白な悲しみなのです。
真っ白い方眼紙の上で、
小さな鉛色の点が震えているのです。
遺体は泣きません。
生体は泣きます。
あなたはまだ生きているから、
私は、あなたの、添え木にはなれないから、
残酷なのですよ。
路地の奥から、
踏み切りの警報音が
いつまでも鳴り響いていました。
外套のように。
今朝、牛乳販売店の脇の路地で、
泣いている老人を見かけました。
老人は、泣いてはいけません。
世の中にそれ以上の悲しみは存在しないから、泣いてはいけません。
あなたのその悲しみを、受け止める人はいないから、泣いてはいけません。
あなたの涙には、
打算や後悔や懺悔は、ありません。
他者の忖度を無化し、憐憫を形骸化します。
つまり
その悲しみには、
隙間というものが
ないのです。
あなたは大脳で泣いているのではなく、
生体としてないているのです。
哀切さだけが濃縮されたカタマリなのです。
きっと臍の胡麻まで泣いているのです。
(朝日を受けて、膨張した灯油缶がパンといいました)
ただただ真っ白な悲しみなのです。
真っ白い方眼紙の上で、
小さな鉛色の点が震えているのです。
遺体は泣きません。
生体は泣きます。
あなたはまだ生きているから、
私は、あなたの、添え木にはなれないから、
残酷なのですよ。
路地の奥から、
踏み切りの警報音が
いつまでも鳴り響いていました。
外套のように。